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会社説明会の服装が自由なとき、あなただったら何を着ていく?
「そりゃスーツでしょ?」
大学4年の時に私はここを完全に読み違えてしまったことがある。当時はインターネットでの資料請求が始まったばかりの頃だったが、ハガキでの応募も平行して行なっていた。
そのハガキの裏面に小さい文字で
『普段通りの服装でお越しください』
という記載がされていた。社会人経験が無いにしてもスーツで行くべきだとは重々理解していた。就活中の友人も同様にスーツで行くべきとのアドバイス。
でも、私はTシャツにジーンズという思いっきりラフな格好で行くことになった。
この馬鹿げた行動には理由があるのだが、結果として吉とでるか凶となるのか?
興味がある人は読み進めていただきたい。
会社説明会の服装が自由な時、何を着ていくのが正解なのか?
私が就職活動中の当時は、IT革命なんて言葉がもてはやされた時代で、楽天やマネックス証券などの新興勢力が認知されはじめた頃の話。
完全に買い手市場だった当時は就職氷河期とか言われ、30~40社受けても内定ゼロなんてのがザラだった。そんな苦しみを味わった世代の一人である。
そんな先行きが不透明な時代背景もあり、文系だった自分も何か手に職を持たないとこの先かなり厳しいだろうと感じてた。
私は影響されやすい人間だったこともあり、『これからはPCが使えない奴は生きていけない!』なんて感化され、特に何をやるのかも分からないまま文系でもできるという理由でSEを志望した。
受ける会社はほとんどがベンチャーな感じの会社ばかりで、数百人規模の会社説明会に行く機会はあまり無かった。大きな会社で働く自分がイメージ出来なかったことも大きいかな。
大規模会社説明会
エントリーシートが通ったのか、何がきっかけだったか忘れたが財閥系のITソリューション系の会社説明会に行けることになった。
その会社説明会の案内状が冒頭の話につながるんだけど、大規模な会社なので服装は当然スーツで行くことくらいは私も理解している。
危機感があまり無かったからか、私はこの時期でもまだバイトを続けていて、会社説明会前日にバイト先の店長から電話が入る。内容はよくある話で会社説明会当日の午前中にシフトに入っていたやつが辞めてしまったとのこと。
なので、会社説明会当日の午前中だけでもシフトに入れないかという確認の電話だった。説明会は17時からだったので、昼まで働いたら帰宅して仮眠してもまだ間に合う。
毎晩のように飲み屋に連れて行ってくれた、店長のお願いを断るなんて出来るわけがない。私は二つ返事で承諾し、説明会当日の朝にバイト先へ向かった。
私が会社説明会に私服で行った理由
ゴールデンウィークを過ぎたあたりの時期でも、まだ私の周りの友人は誰も内定を貰えていなかった。どんだけバカなんだと思われても仕方ない。
でも、当時は本当に内定がもらえず、私より早く就活していた比較的頭の良い友人ですら苦戦している状況。
私なんか就職なんて余裕でできるもんだと思ってたから、バイトも辞めず平行して進めてた。いくら氷河期とかいっても俺なら余裕で入れるだろ、みたいな意味不明な自信があったのを今でもよく憶えている。
バイトは何事もなく普通にお昼の時間までやりきることができた。
バイト内容はサービス業だったので、そこのマカナイを食べながら店長からも感謝され、気分良く帰ろうとした矢先に、午後からシフトに入ってるバイトの女の子が来ない・・・
店長に懇願された私は、かわいい女の子を紹介してもらえることを条件に、午後のシフトも入り、その足でそのまま会社説明会に向かうことにした。
当時は限りなく遠い未来の収穫よりも、近くの甘い果実の方が魅力的だったんだよ。
後悔
Tシャツにデニムという服装で会社説明会の会場に向かう。Tシャツの胸部分には『Number』というFenderをパロったデザインのロゴが入っている。
そんなTシャツの詳細などどうでもいい話だが、会場に着くまで大して服装のことなんて気にもとめていなかった。だってハガキには『普段通りの服装でお越しください』って書いてあるしね。
私と同様に不測の事態が起きて、私服で来ちゃう奴が何人かいるだろう。
この甘い考えが命取りになることを後で知ることになる。
会社説明会の会場に着くのがギリギリになってしまった私が、見た光景は異様なものだった。300人はいるだろう会場の学生達は、皆そろいも揃って紺のスーツ。Tシャツにデニムなんておめでたい格好の奴は一人もいない。
ここで初めて全身から血の気が引いていくのを体感した。
こんな時に限って会場に空席は見つからない。やっとのことで見つけた席は、あろうことか一番前の席という間の悪さ。
紺のスーツで埋め尽くされた海の中を、モーゼのように一人トボトボと歩いていく。こんな時に限って胸には『Number』なんて意味不明なロゴが輝いているし・・・
周りの奴らからの野良犬を見るような痛い視線をヒシヒシと感じながら、やっとのことで一番前のテーブルにたどり着く。
一番前の席まで移動するまでにかかった時間は僅か20秒ほど。
これほど20秒が長く感じたことは人生の中でも初めてのことだった。
まとめ
この会社説明会に参加して、一回り大人になった気がする。
これほどまでの屈辱を肌身に感じたことは、生まれてから一度もなかった。会社説明会の内容は一切頭に入って来ず、何の事業をしているのかも分からない。
というよりも、自分の服装が気になって一切集中することができなかった。
このまま筆記テストに入り、当然自分の服装が気になって居ても立ってもいられない。ただでさえ苦手な筆記試験をパスするほどの余力は、もう残っていなかった。
これは会社の雰囲気にもよるところだが、基本的に会社説明会に来ていく服装は自由と書かれていても、スーツが無難ということで話を締めよう。