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リジットデニムのおすすめを挙げるとすれば、何よりもまずAPC(アーペーセー)を取り上げたい。
私が10代の頃から人気があり、今も維持し続けている。
デザイナーはフランス人のジャン・トゥイトゥー。
20年以上の月日が経つというのに、相変わらず第一線で活躍している。
その中でもとりわけリジットデニムが異常な人気で、学生時代は手に入れるのが非常に困難だったことをよく憶えている。
この後に詳細をお伝えするが、リジットデニムというのは生デニムに糊付けをしたままの状態のものを指す。
糊付けされた状態なので、デニム生地は固くゴワついている。
当時はリジットから履き込むにあたり、洗濯するかしないかみたいな話もありAPCだけで何本のデニムを買ったか分からないほど。
少なくとも10本目くらいにはなるモデル。
そんな記憶を取り戻しつつ、私が1年ほど履いているモデルを例に取りながら話を進めていこう。
リジットデニムのおすすめは『育てる』楽しみ
大前提としてリジットデニムが何なのか?
デニムを育てるとは何なのか?
この辺をきちんと踏まえて話をしていくので、洋服が詳しくない人も安心してほしい。
リジットデニムとはなんぞや?
冒頭部分で少し触れたが、APCとか言ってる手前でそもそもリジットデニム自体が何なのか分からない人も多いはず。
リジッド(rigid、固い)という意味で、こちらは未洗いで糊が付いたジーンズのこと。リジッドデニムは一切の加工が施されていない先ほどの生デニムと、未洗い(糊付き)で防縮加工だけが施されたものとの2種類を指します。ですので、リジッドデニムも生デニムと同様に、水を通せば生地が縮みます。Right-on
そう、糊付き加工された状態のデニムをリジットデニムと呼ぶのだ。
ライトオンの話からするとリジッドが正解みたいね、実際どっちでもよいんだけど。
リジットデニムの魅力
リジットデニムの魅力は、育てる楽しみにある。
『デニムを育てる』というのは、
自分の体型に即した色落ちを楽しむ行為を指す言葉だ。
リジットはジーンズのスタート時点の状態。
ここから履き込むにしたがい、アタリ(色落ち)やヒゲ(履き皺)が出来てくる。
機械を使った人工的な加工ではなく、自分の体型により生み出される自然な色落ちを楽しむことができるのだ。
何せ糊付けされた状態から、どうやって育てていくかは履く人次第。
だからサイズ選びが非常に難しい。
洗った後の股下長さを計算してサイズを選ばないといけない。
ここを間違えるから何回も買い直す人もいるぐらい。
私は1本目はサイズ間違いしたものの、それ以降は体型変化によるサイズアップや、マイナーチェンジに伴いシルエットが変わった時に購入している。
そんなリジットデニムの履き方について、選択肢として2つの育て方があるのだ。
糊付けしたままで履く
一つ目はリジットデニムのまま、要は糊付けしたままの状態で履き続けること。
基本的にデニムは頻繁に洗うものではない、というのが私の昔からの教訓だ。
生地の傷みを考えたら、水洗いくらいはした方が良いかもしれないが、私は丸一年洗わないこともある。
これはリジットから育てる過程では避けては通れない問題。
ひたすら陰干しのみで1年耐えるのは、結構辛い。
何度も洗いたい衝動に駆られるし、臭いもそれなりにする。
丸一年経過したくらいで糊が残ってる部分は若干縮みはするものの、ほとんどは取れてしまうだろう。
この一年間の積み重ねがあるからこそ『鬼ヒゲ』と呼ばれる立体感のある色落ちができるのだ。
ワンウォッシュで履く
一度洗ってから丈詰めする方が安全だ。
だからワンウォッシュしてから再度丈詰すれば、寸足らずになる危険を回避することができる。
普通に洗濯機で適当な頻度で洗いたい人は、確実にワンウォッシュで履くことを選択しよう。
ここは個人差なので特に何かを言うこともない。
ひとつだけ言えるとすれば、リジット状態のデニムにはキレイ目なコーデがばっちりキマるということ。
革靴と合わせてもしっくり来るのは、リジットデニムだから成せる技。
カジュアルに着るのであればワンウォッシュ、少しモードな感じにしたければリジットのままというのが私の結論だ。
どちらかが飽きたら、もう一本買うというのも選択肢のひとつ。
何度買っても育てる楽しみを味わえる。
それがリジットデニムをおすすめする最大の理由と言えるだろう。
リジットデニムと言えばAPC
リジットデニムで文句なくおすすめできるものは、間違いなくAPCだ。
ここのリジットデニムだけで何十本と買った私だから自信を持って伝えられる。
APCをおすすめするにあたり、私の経験談も踏まえ判断してもらえればと思う。
APCの歴史
まず何よりも日本に入ってきた瞬間から今まで、常に一定の人気を維持していること。
私はリジットデニムの定番ブランドとして位置付けたのがAPCなのだ。
20年以上に渡り、日本国内で人気を保っているという事実からも定番の領域に入るだろう。
ボーダーTシャツと言えばセントジェームス、チノパンと言えばディッキーズみたいな存在。
だからリジットデニムと言えば、何の迷いもなくAPCなのだ。
定番品をおすすめしないわけにはいかない。
APCの人気
何度も同じことを繰り返し伝えているが、20年以上も前、私がまだ10代だった頃からAPCは人気が高かった。
当時は代官山に店舗があって、新宿の高島屋2階に入ったばかりの頃。
伊勢丹にはレディースだけが展開されていた。
とりあえず、リジットデニムの人気は半端なく入荷後即完売という状態が続く。
当時の彼女と伊勢丹に行った時がちょうど入荷日で、店員さんがテーブルに置いた瞬間に、多くの女子が揉みくちゃになってデニムを取り合った。
メンズで取り合うような光景を見たことが無かったので、この絵は今でも私の脳裏に焼き付いている。
見た目かわいい女子が、スーパーのおばちゃんなみにリジットデニムを取り合う。
こんな異様な光景をデパートの、しかもレディースコーナーで見るとは思わなかった。
メンズも人気が高いため、自分の欲しいサイズはいつも完売。
当時はインターネットなんて無い時代だったから、何度も店舗に足を運んでは入荷してないかを店員に聞いた気がする。
まーそんな時代だったんだよ。
APCデニムの種類
基本的に大きく分けて4種類が存在する。
①スタンダード
普通に定番ストレートなシルエットのデニム。
②プチスタンダード
スタンダードを股上を浅く、シルエットはスリムストレートに変更を加えたもの。
③プチニュースタンダード
プチスタンダードよりも股上が深いタイプ。
④キュア
スキニーなタイトシルエット
私の私物はプチスタンダードなんだけど、シルエットは大人が履くデニムとしても美しいと思う。
タイト過ぎず、でも太くない。
このフィット感は、他のデニムとの大きな違い。
お腹が出てる私でも普通に履ける股上の浅さがポイントになっている。
APCデニムの生地
主力デニムは14.8オンスという非常に分厚いものを使っている。
夏場は確実に死にいたるのは目に見えているものの、他のシーズンに履く分には特に問題でもない。
正直リジットで履いた感じは相当ゴワゴワするので、人によっては違和感を感じるはず。
特に最近のスウェットデニムなんかに慣れてしまった人は、少し戸惑いを感じるかもしれない。
これを丸3年くらいかけて履き込んでいくのが、育てる楽しみの一つ。
色落ちした時の生地表面の風合いも独特だ。
デニムの色落ちを見て、どこのデニムか判断できるブランドは少ないと思う。
APCはその少ないブランドの一つで、インディゴの風合いを見るだけでここのジーンズだと判断できてしまう。
ここまでいけば、相当なジーンズマスターと呼べるレベルだね。
APCデニムのその他仕様
その他に挙げる点があすとすれば、セルビッチとシルバーボタンになるかな。
セルビッチは通称『赤ミミ』なんて呼ばれている部分だけど、昔はいていたリーバイスの66モデルやXXデニムを思い出すヴィンテージ仕様。
ロールアップした際のポイントにもなるしね。
シルバーのフロントボタンも野暮ったくないし、好きなポイントだ。
細かい部分にも配慮されているのがおすすめできるポイントでもある。
APCデニムのデメリットは?
良いデニムだから穴がないように見えて、いくつかデメリットを探してみた。
行き着くポイントは2つある。
生地が厚い
ひとつは先程デニム生地のポイントで説明させていただいた『生地の厚さ』の部分。
14.8オンスはデニムの中でも、生地の厚みはかなり極厚の部類に入る。
もちろんエイトジーのように28オンスなんて規格外のデニムを作るブランドもあるが、最近の傾向からしても14.8オンスは厚い部類に入る。
よって、寒さを感じる時期に履く分には何も問題ないが、夏場に履くのは無理だろう。
ヘタにリジットで夏場に街を歩こうものなら、汗で変な色落ちになってしまうリスクもある。
洗濯後の縮み
2点目は洗濯後の縮みを計算するのに、ある程度の経験が必要だと言うこと。
この部分については、店員さんの言葉をそのまま受け取ることができないと思ってる。
相当信用できるのであれば話は別だが、後悔しないためにも自分で判断できるようになろう。
丈詰めをするのであれば、ジャストサイズで合わせると縮みで寸足らずになる可能性があるため、基本は少し長めにしてカットした方が良い。
このカットを間違えることで、再度買い直しをしている人が2%くらいいると思ってる。
APCデニムの売上2%が買い直し需要だったらと思うと、結構な人数だと思うけど。
だからこそリジットデニムのサイズ選びは、慎重に・そして間違えないようにね。
まとめ
リジットデニムで一番におすすめしたいAPCを取り上げつつ、その魅力を紹介した。
クオリティを考えても、年齢的に見ても大人のメンズが履くべき仕様を兼ね備えたのがAPC。
是非、あなたのデニムラインナップに加えてみてはいかがだろう?
リジットデニムがおすすめなのは、場合によって2本買ったって良いところ。
1本はリジットのまま、キレイ目なコーディネートの時に使う。
2本目は色落ちを楽しむ、まさに育てることを目的としたもの。
同じデニムを2通りで使い分けできるわけだ。
愛着を持って履き続けることができる、数少ないコーデアイテムの一つになるのは間違いないだろう。
APC以外の選択肢
私と同様にAPCデニムは何本も手にしたことがある人は、さすがにもう食傷気味がもしれない。
そんな要求に応えてくれる大人のデニムにあたるのが、ロンハーマンデニムなんじゃないのかな。
デニムマニアと呼ばれて30年以上になるロンハーマンが、ディレクターとして迎え入れたのがサイモンミラー。
そのサイモンミラーのデニムに関する想いを集結させたプロダクトが、ロンハーマンデニムになる。
ロンハーマンデニムの中でも、リジットを強く押してることからもそのデニムのクオリティは相当高いものになっている。
ヴィンテージレプリカではなく、ある程度デザインされた大人のリジットデニムが欲しい人におすすめできるモデルなんだ。
詳細は以下記事で取り上げてるので、興味がある方は参考にしていただければと思う。